今日の毎日新聞夕刊のトップ記事。
「永田町『終のすみか』じゃない 嶋民主議員、ソフトバンクへ 落選で見切り」


どういうことかというと: 嶋議員(47)は4期目を目指して昨年9月の衆院選に愛知13区から立候補したものの落選、民主党も惨敗して政権奪取の夢も潰えた。その一週間後に旧知のソフトバンク社長、孫正義氏に直談判、「政界からビジネス界への先駆者になりたい」「アブラが乗った40代後半から50代半ばの間に政権にいられないのなら、成長が見込めるIT産業で勝負したいと考えた」
…で、ソフトバンクに就職、議員バッジを捨ててビジネスマンとして一歩を踏み出した、という話。記事の口調は、転身を果たした氏に対して至って好意的な印象なのだが。


これが、ニュース性よりも読み物性の高い夕刊とはいえ、一面トップに載せるような話だろうか?
そもそも、これは「ちょっといい話」なのか?


転職を考えた時、たいていの人は職安へ行ったり、雑誌やチラシや新聞で求人広告を見るだろう。自分に合いそうな仕事を見つけるのはなかなか大変だ。自分の経験や適性をよく知っていなければならない。30代後半を過ぎれば年齢要件が厳しくなる。嶋議員のような40〜50代ともなれば尚更。
希望の就職先を探し、担当者に連絡し、履歴書と職務経歴書を書き、電車なり何なりでそこへ出掛けていって担当者と面接、これまでの仕事の内容や自分のスキルについて詳しく聞かれる。とにかく好印象を与えること、仕事を任せられそうだと思ってもらえることが肝要だから、話をする時には言葉の端々にも表情にも細心の注意を払わなければならない。
これを、自分の望んだ職に就けるまで繰り返すのが就職(転職)活動だろうと思う。


嶋氏は何故こういう普通の手順を踏まなかったのか。
「旧知の孫正義ソフトバンク社長に『政界からビジネス界への先駆者になりたい』と直談判した」結果、めでたく今をときめく巨大IT企業に転職…なんて、我々からしたら「ふざけるな」としか言いようがない。落選した代議士先生が路頭に迷うのが嫌で、知り合いの大会社社長に「どうにかしてちょーよ」とねじ込んだだけではないか。否、「直談判」という言葉(それが本人の口から出たものか記者によるものかは紙面からは判断しかねるが)からすると、「政界を知る俺様を採用せんでどうするの〜」と高飛車に出たんだろうという印象さえ受ける。
何にせよ、元代議士がその身分を特権・権威として振りかざすことで楽に華麗なる転身を遂げたとしか我々には…少なくとも私には…見えないわけで、不愉快なんである。


自分の職場に「一体どんな経験の蓄積やスキルがあるのか、ないのかも分からないが、とにかく社長の昔からの知り合いってことで入社してきた偉い人」が自分の近くや、社長の近くで影響を及ぼすところにいたら、さぞかし迷惑だと思う。ちなみに47歳の嶋氏、これまでビジネスマンだったことは全くないそうだから、入社した企業で即戦力になれる実務スキルは恐らく何もないだろう。元代議士先生なら、パソコンが出来なくても話術や交渉に長けているだろうか?でもこれまでの人生をずっと「先生」としか呼ばれてこなかった人物は、海千山千の、dog eat dogなIT業界のビジネスマンとサシでまともに話が出来るのだろうか。政界にも、IT業界とその社風にも明るくない、ごく一般的な経歴しかない私にはわからないことだらけである。


嶋氏はソフトバンクでどう活躍するのだろう。
ト○タ自動車が、一部の高級車だけに搭載の車載情報システムを中・小型車にも導入できないかな、インターネット(無線)みたいなら誰でも簡単に使えるよな、インフラもあるよな、なんて考えていると、ソフトバンクの嶋氏にその情報がもたらされる。
トヨ○さん、あんたんとこ車のインターネットするの?ほんならうちの会社にさせてみん?なんでて、インターネットはうちの会社が一番ええに決まっとるがね、あんたヤホーて知っとるでしょ、知らん?ヤフー?ヤフーだったかね、まあどっちでもええて、とにかくうちにね、なんでぇ、○ンソーさんなんてええて(ヤバいからもうやめとく)