6月8日の県議会議員選挙に向けて早くも前哨戦が始まっている。選挙戦といっても公示前だから政党色を出さない個人レベルのPRだが、中には大臣や県知事と握手してる写真をポスターや横断幕に載せている人もいる。
2〜3月にはすでに見られるようになっていたのは「名前だけ」のポスター。カタカナ文化、しかも同姓の人が多い沖縄では「ファーストネームだけをカタカナで書いたポスター」が多い。ただ「(例)アキラ」とか「(例)ヨシオ」とかいった数文字だけが力強く書かれたポスターが、立ち並ぶ電信柱や街路樹に延々と貼られている。
「(例)アキラ」だの「(例)ヨシオ」ならそれが名前だとすぐにわかるが(わかっても「何だこれ?」という感じには変わりはないが)、沖縄の男性に多い音読みの名前の「(例)コウセイ」やら「(例)チョウキ」やら書かれた紙がそこらにベタベタ貼られているのを見たら、観光客の人にはそれは謎の暗号にしか見えなくて、おかしな所に来てしまったと不安に駆られるのでは、と要らぬ心配もしたくなる。


朝の通勤途中にある交差点では毎日、雨の日も風の日も、「○○○○○○○後援会」の人たちが4〜5人、目にも鮮やかに名前が染め抜かれたのぼりを持って立っている。
この人たちが何をしているのかというと、通り過ぎる車に向かって笑顔で手を振るんである。次々と通り過ぎる車の列にひたすら笑顔を振りまきながら手を振り続けている。ちなみに若い女性なんぞではなくメタボ体型のおじさんたち。
毎朝これをして何になるのか。候補者のイメージアップになるのか。投票日に得票数が増えて当選するのか。皆目見当がつかないのは多分私だけじゃないだろう。笑顔で手を振り続けるおじさんたちの心の片隅にも小さな「どうして…?」が疼いているはずだ。でも何もしないでいるわけにはいかないし、地縁・血縁社会の沖縄では「後援会」に組み入れられた以上は務めを果たさねばならないんだろう。(余所者の目には)難儀なことだ。


私の車が交差点を通り過ぎる刹那、左の角に立っていたおじさんがひときわ笑顔を輝かせ、身を乗り出すようにして大きく手を振った。「がんばってくださいねー!」とでも私が言ったと思ったのかもしれない。
実のところ、口をパクパクさせていたのは、車内で大音響で「アニメタルラソン? 円谷プロ編」を聴きながら「♪風がー吹きー荒れー♪屋根が飛ぶ〜♪」などと唄っていたからですが。


アニメタル・マラソンIII?円谷プロ編?

アニメタル・マラソンIII?円谷プロ編?