ヴァージニア工科大学の事件のことを書き忘れていた。


22日の「サンデーモーニング」でこの事件についての報道を見ていたら、犯人の韓国系学生が銃を購入した店の店主がインタビューに答えていて、「大学の学生や職員が合法的に銃を持っていさえすれば、こんなに犠牲者がでることはなかったはず」と言っていた。
夜のNHK「海外ネットワーク」でも、ニューヨークの街頭でインタビューされていた人が、その店主と同じことを言っていた。
アメリカでこの種の事件が起きるたびに聞く意見だからもはや驚くこともないけれど、アメリカ人にとっては正当な自衛手段であっても、一介の日本人としては(日本人であることが関係あるかどうかは正直よく分からないが)、やっぱり暴力の上に暴力を積み重ねることにしか見えないんだよねぇ。


以前一緒に仕事をしていたアメリカ人と、何がきっかけだったかは忘れたけれど銃の話になった。アメリカの家庭には銃があるのが当たり前、僕の家にもあるよ、と自転車か車の話でもしているかのように言った。
彼のお父さんがカウンセラーだかセラピストだかで、彼の家に「オレは今から自殺するからな!」と電話してきて、本当に電話口で自分を撃って自殺する人がいた、という話もした。
それから「ほら、よくテレビとかでさ、こうやって(手を拳銃の形にして耳の上あたりを指して)横から撃つってのがあるけどさ、あれじゃ一発じゃ死ねないんだよね、こうやって(口を開けて拳銃を入れて銃口を上に向ける真似をして)撃たないと即死できないよ」と、楽しげに話しもした。
生憎とその場にいたのは、彼以外は私を含め全員日本人女性。誰も彼の話には乗ってこなかった。銃があって普通の生活なんてのがそもそも全くピンと来ないんだから、そういう話をされても何をどう答えたものかわからない。


そんな白けたような私達の反応が面白くなかったのか、それとも誰かが「私達にはよく分かんないよね」みたいなことを言ったのか、どちらかは覚えていない。とにかくそれまで楽しそうにしていた彼は急にムッとした表情になり「だって銃を持ってなけりゃ、撃たれる前に撃たなきゃ、意味ないだろ!お前ら何でそんなことがわからないんだ?」と言った。
いつもはバカ話ばかりして仲のいい友達でも、お互い外国人となれば、永遠に理解できそうにない部分はあるんだと痛感したあの日だった。


話が逸れたので元に戻すと、「大学の職員や学生が銃を持っていればこんなことにはならなかった」というのは正しいのだろうか。犯人が早朝に別の学生を射殺(しようと)した時に学内の誰かが犯人を殺しておけばよかったんだろうか。
それが出来なかったとしても、犯人が教室で乱射を始めた時、銃を持った学生や先生が一斉に犯人を撃って殺しておけば、犠牲者の数は最小限で済んだだろうからそのほうが良かったんだろうか。
犯人を殺した人達は英雄と呼ばれることになったんだろうか。


考えれば考えるほど混乱する(笑)。そもそも一般の人が銃を持たなければ事件は起こらないはずだ、とアメリカの誰もが考える日が、果たしていつか来るんだろうか。