アイルランドの家庭に行くと、暖炉の上あたりにSacred Heart(キリストの肖像画:心臓の位置に大きな赤いハートが描かれている)と一緒にローマ法王肖像画が掲げられていることがよくある。肖像画の法王は若くてハンサムで、これが長いこと私の中のローマ法王ヨハネ・パウロ2世のイメージだった。81年に来日された時のエネルギッシュな人物との印象も今でも脳裏に強く焼きついている。
今年になってから法王の体調不良が伝えられるようになり、ニュースでその姿を目にすることが多くなって、法王の姿は今や私の抱いていたイメージとはかなり違っていることに気付いた。テレビに映し出されているのは、背中の曲がった、表情の乏しい、手元もおぼつかなさそうな老人だった。肖像画に描かれている優しい笑みをたたえた、輝くような若々しい肌をした初老の男性とは別人のように思えた。
即位して26年近く、84歳。私がアイルランドにいたのは15年前なんだから老人になっていて当然なのですが(私もババァになったし)、どうにもそんなイメージがなかったですね…。