Madjiru2005-01-16

日本で消費されるランチョンミートのうち、90何パーセント(100%に限りなく近い)は沖縄で消費されている、なんて言うより、本土でランチョンミートを見ることがあれば、それは輸入品を多く扱う高級食料品店だったり、当地のように外国人の多い町の店だったりといった場合にほぼ限られている、と言うほうが分かりやすいと思う。私がいつも行くスーパーにも「成城石井コーナー」があって、SPAM数種が698円とかで売られているが、これは私には食品というよりむしろ、都会っぽい小洒落れた生活をしてるフリをするための演出小物といったモノに見える。アンディ・ウォーホルの作品をパッと連想させるキャンベルのスープも同様。沖縄ではキャンベルのスープ缶はCream of MushroomやChicken Noodleなどの何種類かは、特売日には58円で売られていることすらあったが、オサレな人々がその現場を見たらさぞかし幻滅するだろうと思う。


沖縄ではランチョンミートは「ポーク」と呼ばれていて、どんな小さな店にも必ずある。大きめのスーパーなら缶詰コーナーの半分近いスペースが、ベーシックな四角の缶を筆頭に、丸に楕円に筒状にと、形も大きさも様々な缶で占められている。
TULIP、MidLand、デンマークの黒い缶のESMARK、有名どころのSPAM、缶に印刷された粒子の粗雑な写真が何やら怪しいふいんきを醸し出している中国産のMa Ling、とよりどりみどり。土地土地によってお店の品揃えが違うのも楽しい。


で、写真のSPAMは、私達が沖縄にいたことを知る方が、近所の店で安売り(350円)になっていた時に私達のために買ってきて下さったもの。
沖縄にいる間にいろいろなポーク缶を食べてみたが、SPAMは一度買っただけで二度と手に取ることはなかった。理由はSPAMだけが常に他の製品よりも100円前後高かったことでは断じてない。とにかくSPAMの塩辛さたるや尋常ではないのだ。写真のこのSPAMは昨日今日と朝食時に頂いたが、ひと口食べてはコーヒーやら水やらパンやらを口に流し込み、またひと口食べてはコーヒーやら水(以下略)の繰り返し。誇らしげに25%減塩をうたっているが、これでさえ大方の日本人の味覚にはとても合わないどころか、生命の危機さえ感じるのではないだろうか。少なくとも私はそうだ。
2ちゃんねるのデブスレが好きで読んでいると話題がよくアメリカンデブに及ぶのだが、留学や仕事でアメリカで過ごした/している人達からの投稿には一様に、大多数のアメリカ人の味覚について「甘いものは甘ければ甘いほど美味しい」「辛いものは辛ければ辛いほど美味しい」と感じるらしい、いう印象が書かれている。じゃあSPAMだって塩辛ければ塩辛いほど美味しいし、そうでなきゃ受け入れられないわけだ。


いただきものはありがたく頂戴したが、私は日本人なのでこれからもSPAMは食べられない。